和菓子は茶道とともに発展してきたと言われています。
その中でもきんとんや練り切りのような上生菓子は茶席菓子の代表格ですよね。
茶席のお菓子は「主役のお茶」をおいしく頂くための「脇役」なんです。
ですから、さら~っと清清しく溶けて自己主張しない控えめな香りと甘さが大事に
なるんです。
脇役といっても主役を引き立てる「もてなしの心」に徹底的にこだわってこそ名脇役
になれるのだと思います。
京都にはたくさんの御菓子司がありますが、その一つに「もてなしの心」に徹底的に
こだわった「嘯月」さんがあります。
堀川通から少し入ったところに店を構え
られています。
初めて行かれる方はちょっと迷ってしま
うかもしれないような場所にあります。
左の写真は「美味しんぼ」で嘯月さんが
紹介された際のカットと同じ角度から写真
を撮ってみました。(暖簾が変わっていま
すが・・・)
「美味しんぼ」で嘯月さんを知って強烈な
印象を持った方も多いと思います。
丹波産の小豆を収穫後10℃前後で保存したものを、餡を作る日の朝に炊き上げて、
豆のアクを抜く為に一旦鍋の水を全て捨てる。
その小豆を製餡したものに水を入れて上澄みのアクを取り木綿袋で絞る。この作業
を3回行い、白ザラメを水に溶き沸騰させたものを3回に分けて入れて煮詰める。
炊き上がった餡を更に「底がすのこ状になっている餡船」の上に2・3日乗せて雑味を
含んだ余分な糖分である蜜を抜く・・・。
「美味しんぼ」を読みながらこんな光景を思い浮かべて、それだけこだわった餡を是非
食べてみたいと思ったのは私だけではないと思います。
餡といえば「白小豆餡」と「小豆餡」で出来た「きんとん」
これは究極の餡菓子ですよね。
(岩根のつつじ)
嘯月さんは色にもこだわって作られています。
お茶席の明かりは白熱灯なので、それを計算して色を出しているそうです。
蛍光灯の下であれば少しきついかなと思うくらいの色に仕上げないとボケてしまうから
だそうです。
(朝のつゆ)
さらに嘯月さんのきんとんの特徴は何と言ってもこの細かいそぼろ!
これ写真撮るの大変なんです!箸で持つと潰れてしまうので・・・。
出来るだけ見えない下~の方を箸で持って移します。ホント大変です・・・。
嘯月さんでは最初に餡玉を手に持ってそぼろを付けた後、台において回しながら
そぼろを付けていくんだそうです。手で持って付ければ作業効率はいいのですが、
こんなに細かいそぼろのきんとんは出来ませんよね。
繊細なそぼろに包まれた雑味の無い餡玉!
こんな素敵な上菓子でお茶を頂いたら最高の気分だと思います。
<嘯月>
*完全予約制 事前予約すれば1つから購入出来ます
(取りに行く時間も予約時に告げてください)
*だいたい1日3~4種類用意されています。電話で購入日にある菓子を確認して下さい。
京都府京都市北区紫野上柳町6
075-491-2464
北大路駅から550m バスは9番西加茂車庫前行の下鳥田町
鳳凰小学校の南側の路を学校に沿って東に行くとあります。
● 「嘯月」の上生菓子
岩根のつつじ | 花あやめ | 軒端の月(焼わらび) |
新緑とつつじをイメージした きれいなきんとんです。 |
白餡を外郎生地で包んだ 上品な甘さの和菓子です。 |
本来のわらび餅。 中の甘さ控えめの漉し餡と わらび餅の相性が最高です。 |
朝のつゆ(紫陽花) | 葛焼き(餡) | 落し文 |
朝つゆの降りた紫陽花をイメージ したきんとんです。 |
武者小路千家の四代・直斎さんが好んだといわれる葛菓子です。 | 他人にばれないように伝えたい人の近くの路に落とした手紙をイメージした上生菓子です。 |